結論から申し上げますと、ウール100%でも問題なく洗えました。
今シーズンも夏服が始まり、娘は昨年水洗いしたスカートで元気に登校しています。
中学生でも自分で洗えるように、もくじ4から写真つきで手順をご紹介します。
洗う前の状態
娘の夏の制服のプリーツスカートです。
素材は、ニッケ社製純毛(ウール100パーセント)、ポーラ織りのサマーウールです。
洗濯表示は、手洗い不可、ドライクリーニングのみ。
念のため、購入したお店に問い合わせてみましたが、「水洗いはおすすめしません。」とのご回答でした。
当然ですね。。
夏服なので、見た目以上に、けっこう汚れていると思います。
普段はペチコートを履くことで、直に肌に触れる面積を少なくしてはいるのですが、夏の汗汚れは肌着1枚などお構いなく貫通します。
夏休み中にドライクリーニングに出したのですが、プリーツはカチッと整って戻っては来ましたが、なんとなくニオイはすっきり取れませんでした。
あと、毎週スチームアイロンをかけていたら、一部、生地もテカってしまいました。
(当て布はしていたけれど、浮かし掛けではなくプレスをしていた部分に、テカリが出てしまいました。)
洗うには、覚悟が必要だった
娘のスカートはあと2年は履いてもらいたいのですが、1年目でこれでは残念です。
そこで、ダメもとで水洗いしてみようかな、と思い立ちました。
汗などの水溶性の汚れをすっきり落とすには、水で洗うのが一番です。
ウールは水で縮むとはいえ、制服のスカートには裏地がついているわけでもないから、つりあいを心配する必要はありません。
娘もちょうど、クラスメイトに比べてスカート丈が長いのを不満に思っているようでしたので、縮んだら縮んだでかえって喜んでくれるのではないか(?)
でも、失敗してダメにしてしまったら、買い直しか、、、それは痛いなあ。
と、夏が終わっても1ケ月ほど悩んでいました。
が、とうとう好奇心に負け、洗ってみることにしました。
洗い方の大まかな流れ
洗い方は、普通のウールのニットを手洗いするときとだいたい同じです。
1.ぬるま湯の洗剤液で、つけ置き&押し洗い
2.ぬるま湯で3回すすぎ
3.陰干し
これに、プリーツの処理が加わります。
プリーツの処理
しつけ縫いをする場合
洗う前の段階で、手縫いでプリーツをぐるっと一周押さえます。
縫い方は、プリーツが留まればなんでもいいです、ざくざくと。
一見面倒ですが、トータル的にはのちのちの手間が省け仕上がりもよいので、ひと手間かける価値があります。
仕上げアイロンの際にプリーツを整えるのがとっても楽で、アイロンがけがスムーズに終わります。
糸をつけたまま保管すれば、長期保管でもプリーツが綺麗なままです。
個人的には、一番おすすめな方法です。
しつけ縫いをしない場合
そのまま洗ってもけっこう大丈夫
プリーツには何もせず、そのまま洗います。
ウールは意外にも吸水性が高いため、洗濯するとずっしり重くなります。
この重さで、正しく干すだけでプリーツがある程度までは自然と整い、シワもあらかた取れてしまいます。
乾いたら、当て布を当ててスチームアイロンで整えます。
また、自分でアイロンをかけずに、お店でドライクリーニングをしてもらうという手もあります。
水洗いしたあとになぜまたドライクリーニング?と思われるかも知れませんが、メリットは2つあります。
1.仕上げアイロンの手間が省けます。
2.自宅の水洗いで汗などの水溶性の汚れを落としたあと、ドライクリーニングで皮脂などの油性の汚れを落とせますので、シーズン終わりのしまい洗いに最適です。(クリーニング店のメニューによくある「ダブルウォッシュ」や「汗抜き」とはさっぱり感が違います。クリーニング店で伺ったところ、それらのサービスは、一般的には今回のように水でじゃぶじゃぶ洗うのとは違うそうです。水でじゃぶじゃぶ洗うコースのあるお店もありますが、手間がかかりリスクもあるので、クリーニング料金はだいたい倍になります。)
今回は、しつけ縫いなしで洗い、クリーニングに出そうと思います。
失敗例:洗濯ばさみ
しつけ糸の代わりに、干すときに洗濯ばさみでプリーツを押さえてみたところ、、、
プリーツは綺麗に決まったのですが、挟み跡がテカリとなって残ってしまいました。
跡は、アイロンのスチームを噴射したら消えましたが、濡れているときに挟むことで生地も傷むだろうし、洗濯ばさみは次回からやめようと思います。
洗い方、私の場合(ご参考までに)
洗う
1.汚れている面を外側にして、洗濯ネットに入れる。
洗濯ネットに入っていた方が、水を含んだあとも扱いやすいです。
2.バケツに30℃くらいのぬるま湯をはり、おしゃれ着用洗剤を混ぜる。
洗剤は家にあったアクロンを使いました。
洗濯槽をバケツ代わりにすれば、手を突っこんで手洗いができたり脱水を洗濯機に任せたりできますので、手間がグッと省けると思います。
その場合、脱水は、スカートを洗濯槽の壁に沿って平たく置き、30秒程度にするとよいと思います。
3.スカートを洗剤液に沈める。
このとき、バケツに平らに入らなかったら、汚れている面を外表にして折りたたむ。
4.軽く押して空気を抜いたら、5分間放置する。
(学生服として作られている衣料はたいてい品質がよいので、そうそう色落ちの激しいものはないと思います。)
5.5分経ったら、軽くふりふりしたり、10回ほど押して洗剤液の中で上下させる。
水流で汚れを押し出すイメージです。
(ウールが摩擦でフェルト化して縮む原因です。)
お湯がうっすら濁ってきました。
けっこう汚れているんです。
着用4ヶ月、内ドライクリーニング1回済で、こんな感じです。
色落ちは、よくよく見ると紺色が多少お湯に溶け出ているようにも見えますが、思ったほどではない印象です。
時間にして計7分弱で洗いは終了です。
そんな短時間で汚れが落ちるの?と心配になるかも知れません。
ウールについた汚れは、繊維のウロコの上に乗っかっているだけのような状態です。
なので、ウールを洗う際は、普段着を洗う感覚でガシガシ洗ったり、普段着ほどの頻度で洗ったりする必要はありません。
すすぐ
6.優しく水を切る。(絞らない、擦らない。)
バケツの洗剤液を捨て、バケツを軽くゆすぎ、スカートを戻す。
7.あらかじめ別の容器にためた30℃くらいのぬるま湯を、スカートの入ったバケツに注ぐ。
蛇口から直にスカートめがけて給湯すると、お湯の出始めは給湯温度が不安定なため、冷たかったり熱かったりが直接ウールにかかってしまい、縮む原因になってしまいます。
8.2~3回お湯を替えすすぎ、仕上げは柔軟剤を。
すすぎの回数は、泡や濁りがなくなるまでが目安です。
最後のすすぎの終わりに、柔軟剤を入れて、軽くふりふりして生地に浸透させる。
柔軟剤は、家にあった着色料無添加さらさを使いました。
9.バスタオルで脱水する。
スカートを持ち上げ、自然に水が切れるのを少し待つ。
だいたい水が切れたら(びしょびしょ垂れる状態でOK)、広げておいたバスタオルにはさんで手のひらで軽く押して脱水する。
干す
10.ピンチハンガーに筒になるように挟んで、陰干しする。
水がぽたぽた垂れる状態です。
自重でシワが自然に伸びます。
アイロンをかける(クリーニングに出さない場合)
11.当て布をして、スチームアイロンを浮かし掛けする。
アイロンは、できれば生乾きのときにかけるとよいです。
細かい洗濯ジワが伸びやすいので。
プリーツのすそを洗濯ばさみ等で留めると、かけやすいです。
私は手芸用の仮止めクリップを使用しています。
薄くてアイロンがけの邪魔にならず、小さいけどしっかり留まるので、重宝します。
洗った結果
乾いたら、ノーアイロンでこんな感じです。
ひどいシワも型崩れも、ありません。
ウエストベルトのヨレもなし。
プリーツも、一見、このままでも大丈夫そうなほど。
生乾きの段階で仕上げアイロンをすれば、さらにピシっと整うでしょう。
縮み具合はどうでしょう。
後ろ中心でスカート丈を比べてみると、2mmほど短くなっています。
タテ方向の収縮率は約0.35%。
この後アイロンをかけたら少し伸びますので、今回は、ほとんど収縮はなかったと言えるのではないでしょうか。(娘、残念。)
ヨコ方向にもおそらく多少は縮んだものと思われますが、見た目、どこかが波打ってたりツレたりはしていないので、よしとします。
テカリは、洗う前よりかなり目立たなくなりましたが、やはり光の具合でわかります。
乾いてから洋服ブラシをかけてみましたが、同じでした。
半乾きの時に蒸気を当ててブラッシングしてみたらよかったかな?
(生地が濡れているときは、テカリがなくなったように見えたので、何もしなかったのです)
次回試してみることにします。
嫌なニオイはスッキリ取れて、いつもの洗濯物のいい香りに変わりました。
手触りも、ウールのはり感はそのままに、全体的にふんわり柔らかく生地表面の風合いが戻って、いい感じです。
これで来シーズンも気持ちよく着られるでしょう。
洗ってみてよかったです。
注意事項
〇お湯は最初から最後まで30℃前後を保ちます。
水温が熱すぎるとダメージが強くなってしまうし、逆に冷たいと汚れ落ちが悪くなってしまいます。
また、温水から冷水、冷水から温水と急激に水温が変わるのは、縮みの最も大きな原因となります。(フェルト手芸などではわざとこうして羊毛をフェルト化させます。)
教科書的には30℃なのでそう書きましたが、私は温度計できっちり計らず、手を入れてみて「お風呂よりだいぶぬるいなあ」の感じでざっくりやっています。
多分35℃前後はあったと思います。
それで問題なかったです。
〇上衣とスカートがお揃いの生地の場合、上下で色合いや風合いが微妙に変わってしまう恐れがあるため、スカート単体での水洗いはお勧めしません。
今回は、上衣は別生地のブラウスなので、あまり気にしませんでした。
上衣は夏服であっても芯地や裏地があることが多いので、洗うのがグッと難しくなります。
もし自分だったら、上衣つきだったらスカートもドライクリーニング一択かな。
(ウール100だけど上衣も洗っているよ、という方がいらっしゃいましたらぜひコツを教えていただきたいです、冬服もいつか洗ってみたいので。)
〇水洗い不可のものを水洗いすることは、一般的には推奨されていません。
こんなに書いといてすみません。
終わりに
昔、趣味で縫い物を習っていたとき、私は子供に着せるものを作る前には、ウールだろうがシルクだろうがなんでもかんでもじゃぶじゃぶ洗っており、そのたびに先生に叱られていました。
子供に清潔で着心地のよい服を着させてあげたい、という思いは、どの親御さんも共通ではないでしょうか。
制服は、着ても3年です。
大事に着るべき服ではありますが、一生モノでもありません。
ダメージを避けるか、衛生を取るかというところで、洗おうかどうか迷っている方へ、何かのご参考になりましたら幸いです。
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