粘膜や傷のある皮膚に他人の血液や体液が直接触れてしまった場合、感染症に罹患する可能性があります。
他人の血液や体液に直接ふれてしまったら
まずは流水と石けんで洗う
まずは落ち着きましょう。
皮膚の場合は、流水と石けんで洗浄しましょう。
(消毒剤による効果は確立されていません。)
曝露後の最初の対応は局所洗浄である。
なお、曝露部位への消毒剤などを使用してもよいが、その効果は確立されていない。
○ 皮膚
石けんと大量の流水によって十分に洗浄する。
○ 眼球・粘膜
流水で十分に洗浄する。
○ 口腔粘膜
流水で十分に洗浄する。
またポビドンヨード含うがい水によるうがいを追加しても良い。
埼玉県血液・体液曝露事故緊急対応マニュアルより
その後、必要であれば医療機関を受診しましょう。
その判断が難しいんですけれどもね、、、
応急手当に係る見舞金(バイスタンダー見舞金)の申請手続き方法。藤沢市の場合。
藤沢市消防局救急救命課へ申請の手順について問い合わせたところ、以下のようなご回答をいただきました。
- 応急手当てに係わった7日以内に医療機関を受診し必要な検査を受ける。費用は健康保険ではなく自費で支払う。
- 消防局の救急救命課にて申請手続きを行う。持ち物は、検査結果・身分証明証・銀行口座等の番号がわかる物・印鑑・救急隊が発行したプリント(応急手当実施日・実施場所・対応部隊名が記載されている)」
申請手続きをする場所は、藤沢市消防局救急救命課です。
市役所のお隣、藤沢市総合防災センター2階にあります。
私の失敗
血液に触れてしまった際の状況
先日、道ばたで、転倒して頭部から流血している人に応急手当をする機会がありました。
素手で止血してしまったのと、とっさに当てたティッシュが出血量に対して少なかったため、押さえている手指の隙間から血液が滲み出てポタポタと垂れ落ちました。
駆けつけてくださった救急隊の方が私の手を見て、血液を介して目に見えない傷から感染症に罹患するおそれがあるため医療機関での検査をお勧めします、とおっしゃいました。
その際に、こんなプリントを渡されました。
神奈川県藤沢市には「バイスタンダー見舞金制度」というものがあることを、初めて知りました。
市のホームページによると「バイスタンダー (bystander) 」とは「救急現場に居合わせた者」という意味だそうです。
バイスタンダー見舞金制度について
藤沢市ホームページより
藤沢市内の救急現場でバイスタンダー(救急現場に居合わせた者)として応急手当を実施した際、怪我や病気をされた方の血液等に直接接触してしまったなど、感染症にり患したおそれがある場合に、感染症の検査費用として見舞金をお支払いするものです。
受診を決めた経緯
私の手を救急車の中で消毒することもできるとのことでしたが辞退して帰宅し、すっかり乾いた血糊を流水とハンドソープで十分に洗い流しました。
私の手には傷もささくれもあかぎれもありません。
が、救急隊の方がおっしゃるような目に見えない微細な傷の有無まではわかりません。
また、爪の脇の“一寸先は真皮”のような部分にも血液が染みていたのはどうなのかしら、となんとなく不安になってきました。
知り合いの医師に相談してみたところ、
「知らない人の血液かー。接触した部分に傷がなければ石けんでよく洗えば大丈夫だけど、まあ念のため肝炎ウィルスとか感染症の検査しておくのが無難かもね。」
とのこと。
病院で針刺し事故等があった場合とは違い、お相手の感染症の有無を知るすべはありません。
そのころ、先ほどの救急隊の方からお電話があり、倒れていた方は無事病院に到着して意識もはっきりしています、とのこと。
よかった!
ホッとしました。
落ち着いたらだんだんと自分の手が気になってきました。
この手で今日一日家族の食事を準備して大丈夫なのか?など、些細なことが気になります。
そこで、念のため検査していただくことにしました。
診療科はERだった
近くの内科クリニックに問い合わせたところ、そちらでは血液検査の結果がすぐには出せないとのことで、大きい病院での検査を勧められました。
そこで大きめの総合病院へ問い合わせたところ、診療科は救急センターになります、24時間受け付けていますのでおこしください、とのこと。
救急センター?ER?
一般外科とかではないんだ・・・。もしかしてこれって大事なのかな。
「救急」の名称が醸し出す身に余る感におののきつつ、その総合病院へ行きました。
平日の昼間です。
初診の総合受付で、バイスタンダー見舞金の制度を利用することと救急隊からいただいたプリントをお渡ししました。
受付の方から、検査費用はまずは自費になり、後ほど市の方で手続きすることになる旨ご説明を受け、救急センターの場所を案内されました。
救急センターの入り口前には「ただいま救急センターの待ち時間は120分」の看板が。
120分でも1200分でも待ちます・・・こんな案件ですみません。。。と申し訳なく思いながらガランとした待合で待っていると、意外にも5分と待たずに診察室に呼ばれました。
問診票を読まれた先生は、あっさり
「基本的に手に傷がなければ大丈夫です、血液検査もする必要ありません。」
と。
バイスタンダー見舞金制度を利用することと、救急隊の方に言われた見えない微細な傷からの感染についてお伺いすると、私の手を見て
「うん、大丈夫です。もしこの後、手が腫れてきたりしたらまた来てください。お大事に・・・あ、お大事にじゃないですよね、お元気ですから!笑」
拍子抜けしましたが、先生の明るい笑顔に私も笑ってしまい、不安が吹き飛びました。
迷ったけれど、受診してよかった。
日夜他人の血しぶきを浴びながら(?)お仕事をされている専門家のお言葉には説得力があります。
医療機関で血液検査は不要と診断された場合、バイスタンダー見舞金制度は申請できるのか
さて、血液検査はされなかったものの、もちろん診察料は発生しました。
これは自分の安心料だと思っており、自己負担で全然かまいません。
ですが手続きの実際と疑問点についてお伺いすべく、藤沢市消防局へ行ってまいりました。
やはり血液検査を受けていない場合はバイスタンダー見舞金制度を申請することはできないそうです。
血液検査を受けた場合のみ、かかった費用に関わりなく一律¥25,000が支給されるそうです。(状況により適応されない場合もあり)
例えば血液検査を受けて病院に支払った料金が¥9,000だったとしても、支給されるのは一律¥25,000です。
この金額について、受診した側としては、実際にかかった費用の分だけ補助していただければ十分な気がします。
なんだか税金がもったいないし、差額目当てにこのバイスタンダー見舞金制度が悪用されるおそれはないのかと、ふと疑問に思いました。
が、見舞金は藤沢市の税金ではなく、民間の保険会社から下りるものであるとのこと。
また、申請にあたっては応急手当ての現場で渡されるプリントが必要になるため、第三者が不正に申請することはできないとのこと。
あのプリントにそんな証明書のような役割があったとは・・・。
裏にメモ書きして裏紙のようにぞんざいに扱っていたことを反省しました。
救護の際こそ自衛しよう
¥25,000は検査の費用としては多すぎるように思いますけれど、考えようによっては、万がいち一生の感染症を背負ってしまったとしても一律¥25,000です。
そもそもこのバイスタンダー見舞金制度を全ての自治体が採用しているわけではありません。
やはり、応急処置で慌てていることが多い場面とはいえ、感染症対策は自分で十分に気をつける必要があります。
前述の知り合いの医師によると、
「せめてレジ袋ででも手を覆えればよかったね。」
とのこと。
レジ袋はその時持っていたのに自分。。こういう一瞬の判断能力よね。。
初動で体液に触れてしまうと、その手ではバッグの中のレジ袋を探ることもできません。
汚染した自分の手によって感染源を拡げてしまうことにもなりかねません。
レジ袋も無い場合、今回のケースだったら、患部にご本人の手を当てさせていただいた上から圧迫するとか。これだったら怪我人の手が冷え切っていたのを温めることもできたなあ、と思いました。
この一件のあと、外出の際には使い捨てのビニール手袋を1組持参するようになりました。
次はいつでも来てね、といった感じです(?)
バイスタンダーになってみて思うこと
「バイスタンダー」という聞き慣れない言葉と制度でわからないことばかりでしたが、実際に関わってみると、バイスタンダー見舞金制度は応急手当てに立ち会った人を守るための心強い保険制度でした。
たまたま遭遇した応急処置の場面でしたが、私だけでなく、いち早く救急車を呼んでくださった方、一緒にけが人を見守ってくださった方々(みんないるから大丈夫だよ、とけが人を温かく励まして差し上げていた)、真冬の地面に横たわるけが人にご自身のコートを脱いでかけて差し上げた方、ポケットティッシュなどをくださった方々(通りがかった方々がそれぞれ私のバッグに入れてくださり、みるみるティッシュやハンドタオルでいっぱいになりました)、お店から衛生資材とゴミ箱を持って駆けつけて廃棄物をすべて処分してくださったドラッグストアの店員さん。
私のケースでは申請ができないとわかっても、なんとか申請できるように案を出してくださった消防局の方々(わざわざビルの外に出た私を追って呼び戻してくださり、付近のクリニックに検査費用を問い合わせて、私が費用負担をしないで済むような案をご提案して下さいました。そのお気持ちだけで嬉しかったです。)
薄々気づいてはいたけれど、藤沢市ってホントいい街なんですよね。。
他の街でも救急車を呼ぶような場面には何度か遭遇していますが、こんな暖かい雰囲気ばかりではないものです。
孤軍奮闘だったり火事場泥棒のようなこともありました・・・どんな街だ(笑)
それぞれのお名前も存じませんが、この場をお借りして御礼申し上げます。
一緒に救護してくださってありがとうございました。
そして、思いがけず応急手当ての現場に居合わせた人が自らの健康を害してしまうような事態に陥らないよう、私の失敗が何かのお役に立てましたら幸いです。
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